『誰も書かなかった SEサバイバルガイド ~やりたいことしかやらない「悪魔の流儀(デーモン・スタイル)」』桐山俊也,川村丹美(技術評論社)

投稿者: たけし 投稿日:2012/08/12
カテゴリー:【ビジネス・経済・キャリア】 【たけし】 【おすすめ度:☆☆☆

生存競争が激しいIT業界において、デキるエンジニアがどのような考え方に基づいて効率よく仕事をしているかについて論じた本。
過去にWEB+DB PRESSで連載された記事を書籍化したもの。
著者が某SIerに勤務するSE2名なので、一般的なライフハック本のような抽象的な話だけではなく、よりシステム開発現場に密着した知恵が詰まっています。

厳しい生存競争で生き残る「悪魔流」仕事術とは何か

本書では、著者が考える「仕事がデキるSE」の仕事のスタイルを、「悪魔」に例えて解説しています。 ややもすれば、顧客や上司などからアレもコレも作業を振られて夜遅くまで残業で対応し、結局身体を壊してしまいがちなIT業界です。こういう業界で仕事で結果を出しつつ生き残るために、著者は「悪魔」になることを奨めます。では、「悪魔」の定義とは何でしょうか?

悪魔の仕事の流儀とは、「開き直ること」「好きな事をやること」「頑張らないこと」であると言います。
では、なぜ「悪魔」は生き残れるのでしょうか?その理由は、「自分の価値基準で行動するから」「自分のやりたい事に集中するから」「できる方法でやるから」であると言います。

コレだけ聞くと、単なる自分勝手に聞こえてしまって、本当にビジネスマンとして成立するのか困惑しますよね?
でも詳しく読んで行くと、これらの原則は自分や自分のチームの仕事をコントロールする上でとても重要な考え方になります。
突き詰めると、「君が他人にとっていい人になる必要は何も無い。もっと頭を柔らかくして考えなよ」というメッセージになっています。

「いい人になるな、自分の頭で考えろ」という原則は、以前にも紹介した勝間和代氏柴沼俊一氏の著書の考え方にも共通しています。柴沼氏は、イシュー・アナリシスを使って、仕事のゴールを設定する方法を提案していましたが、本書「〜悪魔の流儀」でもそれに似た方法論が使われています。

自分の頭で考えてゴールを再設定する事が、ゴールへの最短距離となる

少し専門的な話になりますが、本書で紹介されるテクニックの幾つかは、プロジェクト管理の知識体系であるPMBOKを噛み砕いたものになっています。それらの中でも最も難しく、かつ効果が高いと思われるテクニックに、「前提条件を外す」というものと、「プロジェクトの目標を定義する」というものがありますが、本書ではそれを現場でどのように応用したら良いかがとても分かりやすく書かれています。しかも、やり方のコツはたった一つ、「なぜ」「何を」「どうやって」にこだわる事だと言います。「なぜ」「何を」「どうやって」を明確に、現実的に実現可能な方法で定義すれば、ゴールが明確になり、プロジェクトのメンバにもゴールを共有でき、ムダな作業がなくせるからです。

ただし、このテクニックを使いこなせるようになるには経験も必要でしょう。顧客や上司、協力会社といった、利害関係が異なる様々な立場の人と交渉する事が必要になるからです。これらの技術をより深く学ぶためには、PMBOKに即したプロジェクト管理手法を学んだり、Win-Winの関係を構築するための交渉術を学んで行くのが良いでしょう。

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