『日本はなぜ敗れるのか―敗因21ヵ条』山本 七平 (角川書店)

投稿者: たけし 投稿日:2007/10/05
カテゴリー:【新書・文庫】 【たけし】 【おすすめ度:☆☆☆

 先日のエントリーで紹介した『虜人日記』を、『日本人とユダヤ人』等の評論で有名な山本七平氏が、自身のフィリピン戦での体験も交えて解説した本です。山本氏は虜人日記が書かれた時期と場所について、書かれた内容との同時性が高い事からその歴史的資料としての価値を高く評価しています。何故なら、資料の内容とそれが書かれた時期が同時期に近ければ近いほど、記憶の曖昧さや価値観の変遷等の影響が無くなり、ある体験をしたときの生の感性や見聞が留められている可能性が高いからです。特に戦後の価値観の変遷の影響がない事については、それが如何に重要であるかをジャングルの中での飢餓体験の記述を例に解説しています。我々現代人には全くと言っていいほど飢えの体験がありません。だから飢えのために他人の食料を強奪したり、殺し合ったり、食人する者まで出たフィリピン戦の話を読めば、おそらく「当時の軍人は愚かだったんだな」とか「日本軍はやはり血も涙もない鬼のような軍隊だったのだ」とすんなり考えるでしょう。自分は関係ないと思っている。しかし山本氏に言わせればその考えは錯覚だと言います。それは飢える事が無くなった現代の価値観であって、本当に飢えの恐ろしさを知っている者は、己の人格が豹変し、食料を奪う側になる場面が明日にでも我が身に起こりうると考えると言います。従って飢えていた最中にその体験をありのままに文章に残した虜人日記は非常に貴重であると述べられています。

 山本氏は本書の中で、戦後の日本人は何度も戦争に対する反省をしているけれども、本質的な敗因については未だに何も改善されていないと指摘しています。まさかそんなわけがないだろうと思って読み進めると、確かに本書で指摘されている欠点は、多くの日本人にとって容易に犯しがちな事である事に気付かされます。おそらく組織的な仕事をする場合にはどんな時にでも応用できそうな話ですので、一読する事をおすすめします。

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