『星の王子さま』サン=テグジュペリ (著), 内藤 濯 (訳) (岩波書店)
投稿者: たけし 投稿日:2007/08/23
カテゴリー:【文学・評論】 【たけし】 【おすすめ度:☆☆☆☆】
今なお世界中で読み継がれているフランス文学の名作。愛する事の意味と生きる目的について、純粋な王子様と、砂漠に不時着した飛行機乗りの交流を通して語っています。また、作者本人の手による挿絵が素朴で可愛いのも人気の要素の一つです。私は24歳にして初めてこの本を手に取りましたが、もしも10代の頃に読んでいたとしたらきっと今ほどの強烈な印象は受けなかったかもしれません。というのも、この本は生きる事や愛する事の本質を見失った大人たちを批判していますが、現実に目の前の仕事を、熱中するほどの勢いで片付けなければならない立場に立ったことがある年齢でなければ、この批判が本質的には読者自身に向けられている事に気付かずに終わると思うからです。言い換えれば、この本は児童文学に分類されていますが、間違いなく大人に向けて書かれていると思われるのです。
私がこの本を手に取ったきっかけは、最近NHKの番組でサン=テグジュペリと星の王子さまの解説を見た事でした。サン=テグジュペリはパイロットですので、砂漠に不時着した飛行士のモデルが彼である事はすぐに分かりますが、王子様と一輪のバラの関係が、サン=テグジュペリと彼の美しい恋人(後に結婚したと言っていたと思うが、私の記憶が定かではない)との関係をモデルにしていると言う事も分かりました。その視点で物語を読むと、何とも巷の恋人たちに良く起こりがちな出会い方や別れ方、後悔の仕方や成長の仕方をしていて、王子に対して一層共感が湧くのです。王子は自分の星に帰った後、バラに対してどのように接したのか、自分ならどう接するだろうかと時々考えてしまいます。常に手元に置いて、是非愛読書にしたい一冊です。
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