『偽装国家〜日本を覆う利権談合共産主義〜』勝谷誠彦(扶桑社)
投稿者: かーくん 投稿日:2007/05/20
カテゴリー:【新書・文庫】 【か〜くんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆】
「耐震偽装」「偽装景気」「偽装請負」「牛肉偽装」「期限切れ偽装」・・・。日本中偽装だらけである。ウソと建前で、この国は何を隠そうとしているのか。コメンテーターの勝谷誠彦氏が、隠しているものをあぶり出す1冊をご紹介したい。
この中では偽装の仕組みとその暴き方が示されている。特に面白かったのは、偽装している言葉を見破る次の方法である。
「胡散臭いものはたいがい、平仮名かカタカナをまとってやってくる。まず言葉を日本語に変換して、その定義をはっきりさせよと言いたい。」
その例としてホワイトカラー・イグゼンプションが挙げられている。イグゼンプションとは「例外」「除外」という意味。つまり、「残業代の除外」ということである。年収400万円のホワイトカラーまで含まれる点からも、目的が残業代の除外であることは明確であろう。
確かに『フラット化する世界』で示されたように、オフショアリング波が先進国を飲み込もうとしている。賃金が途上国と均衡化する圧力も強まるだろう。
しかし、政治献金も再開した産業界からの圧力でこのような法律を導入すれば、派遣社員に対する規制緩和の際と同様の状況になりかねない。制度的な歪みによって、多くの人が路頭に迷うだろう。
それに対して勝谷氏は面白い提案をしている。その提案とは、「まずは偽装する主体の1つである公務員にホワイトカラー・イグゼンプションを導入し、うまく運用ができるのであれば他にも適用せよ。」というものである。
また、公務員に対しては、トレーサビリティーをつけることも提案がされている。どんな仕事をし、どんな責任があるのか。現在どこで働いているのかを顕在化させることは必要ではないだろうか。こちらも実現できるように、勝谷氏に活躍してもらいたいものである。
加えて偽装の根源といえば、マスコミの存在がある。最近紹介をした、武田邦彦『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』や須田慎一郎『下流喰いー消費者金融の実態』を見れば、マスコミの偽装を感じられるであろう。勝谷氏も同様に、スポンサーであるサラ金やパチンコに対しては、横並びで弱腰であると批判している。CMを見るときにはこういう視点も持つべきだろう。日本中、偽装だらけ。どこが「美しい国」なのか。私たちはもっと怒らないといけない。
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