『危ない食卓 スーパーマーケットはお好き?』フェリシティ・ローレンス(河出書房新社)

投稿者: かーくん 投稿日:2006/12/04
カテゴリー:【暮らし・健康・子育て】 【か〜くんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆

その食べ物が安い理由、ご存知ですか?

 その食べ物の値段が安いのは「企業の努力」によるものである。では、その努力は誰のためのものだろうか?消費者のためではなく、自社の利潤最大化のみを考えた結果ではないだろうか?弱者へのリスク転嫁で成り立っている食品の物流を、潜入捜査を交え記した1冊をご紹介します。

消費者にリスクを負わせることで利益をあげている。
 業務用チキンの多くは、水と添加物により水増しがされている。価格が安い牛肉の廃棄物からとられたタンパク質も含まれている。BSEが怖くて鳥を食べたら、鳥の中に牛が入っている。笑えない話である。安さとの引き換えに、私たちはこのような鶏肉を食べさせられているかもしれない。
 これらの鳥は狭い場所で集約的に育てられるため、伝染病予防のために人間と同じ抗生物質が投与されている。大量に使われることで、抗体をもつウィルスが出現しているそうである。安い鶏肉の代償として、抗生物質を使っても効果のないウィルスを産んでいるのだ。また、急速な発育を促された鳥は、骨や心臓、肺に問題を抱えている。
 鳥だけではない。長距離輸送に適した作物ばかりが作られるようになり、食材の多様性は失われている。6000種以上あるリンゴが、イギリスでは10種類ほどしか栽培されなくなっている。健康のために食べているサラダでさえ、その野菜を洗う際に使われる塩素は、スイミングスクールで使われている塩素の20倍もの濃なのだ。

リスクは小売業から生産者、そして労働者に。
 イギリスでは特売の損失を、小売店が負担するのではなく、生産者が負担しているそうである。損失のリスクは小売店から生産者に転嫁されているのだ。そして、リスクを転嫁された生産者は、労働者にそのリスクを負わせている。
 また、食品に携わる労働力を移民や不法就労者に頼っている。小売店の発注量により出荷量を調整するためには、労働力を柔軟に調整する必要があるからだ。超過供給になっているこれらの労働者は格好の労働力である。(イギリスの場合であるが、日本ではこれがフリーターやパートに変わるだけでは?)小売店の利益のために、これらの人達は生活していく上でぎりぎりの所得しか得ることができない。小売りの利益を考えれば、苦しめられ過ぎではないだろうか?

 これらの原因として筆者は、次の2つを挙げている。まず、食品加工業と小売店への権力集中がある。消費者と生産者をつなぐ小売店が寡占状態であるため、生産者は小売店の要望を聞かざるを得ないのだ。小売店から必要以上に価格を下げろといわれれば、先に挙げたような方法をとらざるを得なくなっている。これは持続可能なシステムではない。小売業の独占に向けたゲームに、我々が巻き込まれているのである。
 2つめには貿易ルールの問題点が挙げられている。先進国では依然として自国の農業を守るために、高い関税設定がされている。それに加え、多くの補助金が与えられているため、補助金を与える余裕が無い途上国は価格競争で負けてしまうのだ。

 見た目がきれいな野菜が売られるまでには、どれだけの農薬が使われたのか?どれだけのものが規格に合わず捨てられたのか?これを洗ったりグレード分けをしている人がどんな過酷な条件で働かされているのか? 『食品の裏側』を読んで食品について関心を持った人に、添加物だけでなく流通全体から食品を考える1冊として読んでもらいたい。

[スポンサーサイト]

『危ない食卓 スーパーマーケットはお好き?』フェリシティ・ローレンス(河出書房新社)の関連本

スポンサーサイト

トラックバック

『危ない食卓 スーパーマーケットはお好き?』フェリシティ・ローレンス(河出書房新社)
に関連するトラックバックをお待ちしています。トラックバックURL:
http://www.noaruseikatu.jp/cgi-bin/mt/no-tb2.cgi/124
承認後の表示になります。ご了承ください。

のある生活:音楽のある生活エクセルのある生活メモのある生活ヒト・コト・モノをtabaneru.jp