『若者はなぜ3年で辞めるのか?』城繁幸(光文社)

投稿者: かーくん 投稿日:2006/11/18
カテゴリー:【新書・文庫】 【か〜くんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆

 日本では多くの大学生が3年生の終わりから4年生のはじめにかけて、授業そっちのけで就職活動をすることとなる。多くの時間、多くの動力をかけて勝ち得た内定。その一方で就職後3年で3割が退職するという現象が生じている。
 若者が我慢強くなくなったためなのだろうか?もちろんそういう面もあるかもしれない。しかしそれだけでないことを、人事コンサルタントの代表である筆者が示す1冊である。

 若者が辞める理由として一番大きなものは、仕事内容のミスマッチだそうだ。就職活動で求められるハードルの高さとその後与えられる仕事の差。したかった仕事ができない。こんなはずではなかった。そうして辞めていくのである。
 3年目でそれほど重要な仕事をさせてくれないことは分かっている。それで辞めるなら我慢強くないといわれても仕方ない。しかしそれが一生続くかもしれないと気付いた時、辞めてしまうのは我慢が足りないだけで済ませられるのだろうか。

 バブル崩壊後の不況により、多くの企業では役職数の拡大が停止した。我慢をしていればいつかは出世できるという時代は終わったのだ。これまでのように誰もが勤続年数に応じた役割が与えらる保証はないのである。しかも年功序列制度ではキャリアパスが1本しかなく、勤続年数が大きく評価される。年長者が空席を待つ状況では、若年者の序列はいつまでもあがらない。一生単純作業をさせられ続けるかもしれないのだ。しかも多くの能力主義も年功序列制度に基づいているため、序列が上がらない限り、給与の伸びも期待できない。これが日本の年功序列制度の現状である。
 我慢をしてもいつまでも報われないと知ったとき、それでも我慢して働けというのは横暴過ぎではないだろうか。もう我慢してレールに乗っていれば報われるという「昭和的価値観」は崩壊しているのだ。
 
 このような制度のひずみに対して、そのつけの支払いが若者に集中している。すでにレールの終盤まで歩き既得権(高い給料を貰う権利)を持つインサイダーとアウトサイダーとなる若者との対立である。年功序列のため高くなった彼らの給料を払うために、多くの若者が正規雇用される機会を奪われているのである。同年代の給与の格差には熱心なわりに、世代間格差には関心が低いようだ。
 政治を見ても同様の現象が起きている。頭数が多く、投票に向かう年長者。頭数が少なく、投票に行かない若者。政治家が前者に関心をもつのも仕方がない。若年層が投票に向かうことが、この状況を変える最初の1歩になるのではないだろうか。

 これから就職活動を控えている人には読んでもらいたいが、それ以上に現在既得権をもっている世代には読んでもらいたい。そして自分たちが築いてきた社会のメリットだけでなくデメリットにも目を向けてもらいたい。

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