『グーグル・アマゾン化する社会』森健(光文社)
投稿者: かーくん 投稿日:2006/10/31
カテゴリー:【新書・文庫】 【か〜くんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆】
ベストセラー『ウェブ進化論』の発売以降、雑誌でもよく取り上げられるようになった「ロングテール」(ロングテール?と思う人は、まずは『ウェブ進化論』を読んでください)ロングテールを紹介している記事の多くは「これまで売れなかった品物が売れるようになった!!」など良い面ばかりが取り上げられています。しかし、そんなに良い面ばかりなのでしょうか?
ウェブ2.0の世界では多くの人が恩恵に預かれる訳ではなく、むしろその恩恵は一極集中する。つまり、金持ちほどますます金持ちになる構造となっている。このような点に注目し、指摘しているのが今日ご紹介する本『グーグル・アマゾン化する社会』です。
構成としては次のようになっています。第1章では一極化の具体例が示されており、全体像をつかむための章。それに続く第2〜4章ではweb2.0とamazon、googleについての解説がされています。『ウェブ進化論』を既に読んだ人であれば、流し読みで良いと思います。ただ、アマゾンとamazon(日本とアメリカ)の違いなど、面白い話がちりばめられているので、読み飛ばすには惜しい内容です。
これらを踏まえた第5章では、この本の主題である一極化について「スケールフリーネットワーク」という概念を用いて論じられています。空路の中心には空港があるように、情報の中心にもその役割をなすものが必要になる。そして、その情報の中心にはアクセスが集中し、情報も集中する。このメカニズムにより一極化が進んでいることが説明されています。この本で1章だけを読むならこの章!というくらい大事な章です。忙しい人にもこの章だけは読んでほしいです。
残りの章は今後の展望となっています。第6章では「タグ」「パーソナライゼーション」を使った今後のウェブ検索の展望、第7章では一極化が起きるウェブにおける民主主義への展望がそれぞれ記されています。
情報化が進み、誰でも情報発信ができると思いがちである。確かに情報発信はできる。しかし、誰でも発信すれば見てもらえるとは限らない。そう気付かされる1冊でした。ロングテールの真相を知りたい人にはぜひ読んでほしい1冊です。
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