『69 Sixty nine』村上龍(集英社)
投稿者: ゆかちゃん 投稿日:2006/09/22
カテゴリー:【文学・評論】 【ゆかちゃんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆☆】
2004年に妻夫木聡、安藤正信主演で映画化された69の原作がこれ。1969年当時の彼の青春を描いたものですが、これがまあすごいのなんの。主人公のケン=村上龍氏そのものであり、その他の登場人物も実際に存在する人たちばかり。この作品はほぼ実話なんです。これはそんな彼の高校時代が舞台。
彼(と、仲間達)は当時通っていた高校をバリ封したり、自分達で企画、運営を行ったフェスティバルを開催したりとてもエネルギッシュな学生だった。今は自由がたくさんある。本を読み、音楽を聴き、世の中の動きを感じる。これは当時の学生だってしていただろうが今と違うのはそれらから感じるものを表現する自由が当時の学生にはなかったのではないか。教師の言うことは正しくて、少しでもそれに反した生き方をする生徒は睨まれるような時代。この本を読んでそう感じた。ケンはそんな学校、教師、時代にもどかしさを感じていたようなので、彼は堂々と教師たちに従わず睨まれながらも我が道を進んでいた。そしておもしろい、目立ちたいという理由も含めてバリ封までやっちゃうというエネルギーに私はすごく熱くなってしまった。当時は学生運動も盛んでケンに限らず若者が今よりもっと熱かった。これを読んでから私は今の若者の方が敷かれたレールを歩いてるような気がしてならない。自由とはなんだろう。69年という時代はケンたちのような若者にとっては世の中に対する反発心を抱かずにはいられない時代だった。しかし、そんな世の中が生んだ彼らのようなエネルギーのある若者が多かった69年はいい時代だったとも言えると思う。この本で彼らの世界にワープしてこんなことやっちゃうの!?的な熱さに触れて欲しい。そして最後に。これ笑える本ですから。
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