『夜のピクニック』恩田陸(新潮社)

投稿者: としぼん 投稿日:2006/09/14
カテゴリー:【文学・評論】 【としぼんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆

「みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。」

僕が好きな作家の一人である恩田陸は、天才だと思う。その理由は、大人が忘れてしまう少年少女の感情を生き生きと文章に込めていくから。少年少女だけに許された不安定でつかみどころのない心の揺らぎを彼女は繊細に、かつ鮮やかに蘇らせてくれる。「確かに、僕もこんな世界の中にいたんだ。」と。

「夜のピクニック」の舞台は、高校生が一昼夜ただ歩くという鍛錬歩行祭である。高校3年生にとっては最後の行事。そして、歩行祭が特別なものであることを、歩く前の3年生のだれもが確信している。歩き疲れて何も考えられなくなるのに、とても苦しくなるのに、何気ない友達との会話、2度と見ることのない風景、自分との対峙、どれもが思い出の1ピースになることを知っているから。そして、欠けた思い出のパズルに1ピースを加えるべく、甲田貴子は、歩行祭が終わるまでに、ある“賭け”を実行することを決意する。その“賭け”は成功するのか?それとも…。


この作品は05年度の第2回本屋大賞受賞作品でもあり、06年秋に映画化される話題作でもあります。文庫本が発売された機会に是非一読ください。特に、恩田陸を知らない方、大人の方に読んでもらいたいです。最初から最後まで学生時代に戻ることができるからです。とてもリリカルでノスタルジックな恩田陸の世界にご招待いたします。

☆補足☆
「図書館の海」には、「夜のピクニック」の前夜のことが書かれている「ピクニックの準備」という小品が収録されています。

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