『バリアフリーをつくる』光野有次(岩波書店)

投稿者: かーくん 投稿日:2006/04/04
カテゴリー:【新書・文庫】 【か〜くんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆

 僕の通っている大学でも校内に点字ブロックが引かれ始めるなど、街づくりの中で「バリアフリー」を見かけるようになりました。しかし、なんちゃってバリアフリーといった形だけのバリアフリーが多くあるのも事実です。実際、大学に引かれた点字ブロックは不親切な経路などが多く存在しています。

 長崎県諫早市で「無限工房」を主宰し、建築家でもある光野有次がスウェーデンでの「目からウロコ」体験をもとに、日本で彼らが取り組んできたバリアフリーのモノづくりや街づくりについて紹介をしている本です。バリアフリーが実際にはどこまで進んで、これから何が必要なのかを理解させてくれます。

 様々なケースが写真などを用いられて説明されており、現場の様子が伝わってきました。今まで見たことがなかったタイプの車いすやスウィングなど、多くのことが学ぶことができました。その他にも、新築や改築はその後に障害が悪化することを前提に設計しなければならない。バリア(障害)には建物などの物理バリアだけでなく、偏見などによる社会的バリアがある。また、同じ障害者である車いす利用者と視覚障害者では、点字ブロックをどう配置するかと言った利害の衝突が起きること。障害自体だけでなく、障害によって成長過程での経験機会を失うことによるハンディキャップ問題など、たいへん多くのことに気づかされました。

 改築によりバリアが取り除かれ、障害を持った人が再び生き生きとした生活をしている様子などを読んだとき、とても魅力的な仕事であると尊敬の念をもちました。筆者がおわりにで述べていた「バリアフリーは最終の到達目標ではなく、最低の必要不可欠条件である。」という考えにも共感しました。障害者の人が置かれた環境を知るうえでとても良い1冊であると思います。多くの人に読んでもらい、バリアフリーについて深く考えるきっかけになればと思い勧めさせてもらいました。そうすれば、あんな不親切な点字ブロックがこれ以上作られないと思います。

 最後に欠点を挙げておくならば、本著が介護の専門誌である「おはよう21」という月刊誌の連載を中心に加筆訂正したものであるため、1冊を通じたまとまりに少し欠けていました。また、僕としてはもう少しデザインについて言及が欲しかったです。


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