『その日のまえに』重松清(文藝春秋)
投稿者: ゆかちゃん 投稿日:2006/03/18
カテゴリー:【文学・評論】 【ゆかちゃんの紹介】 【おすすめ度:☆☆☆☆☆】
人は誰でもいつかは死んでしまう。
しかしある人は早すぎる死を迎えねばならないし、
ある人は大切な家族を残して死なねばならない。
そして死にゆく人を送り出す家族たちもいる。
そこに残るのは悲しみと涙だけなのか。
この本はとても悲しかった。涙も出た。
文章、セリフひとつひとつから思いや感情が伝わってくる。
「お前が死んでから昼でも夜でも空をみあげることが多くなったんだ」
この一文がとても大好きで愛を感じた。
そして教えてくれたのは死は終わりではないということ。
死は確かにこの世で生きることの終わりを指す。
しかしその人が残したものがあるならば、それはまだ生きている。
物質的なものもあるけれど、その奥にあるのはその人の思い。
それは永遠に死ぬことなく生き続けるだろう。
思い出ではなくその人の死からが始まり。
悲しいけれどとても暖かさにあふれる一冊です。
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